公務員互助会への公費負担は是か非か

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SHIKOKUNEWSより
公務員互助会への公費負担は是か非か
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/288/

補助に適正基準無し

  大阪市の職員問題に端を発し、各地で公務員の厚遇ぶりが議論を巻き起こしている。香川でも、昨年の台風や高潮被害に際し、県の三つの職員互助会から災害見舞金が支給され、うち半額が公費だったことが問題化。高松市では、職員互助会である市職員共済会への補助金を職員の掛け金に対し、これまでの一・八八倍から掛け金と同額に来年度から引き下げる方針を打ち出している。「厳しい財政状況を理由に住民へは補助の打ち切りなど一定の負担を強いるのに、身内には甘いのではないか」が住民側の言い分だ。公務員の福利厚生を目的とする互助会への公費補助は是か非か。是とするならば、適正な補助水準は一体、どれくらいなのか。今回は、公務員互助会のあり方を探った。

現状と経緯=県「事業主の責務」 待遇改善、時代と乖離...

県職員互助会
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高松市職員共済会

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県市町村職員互助会

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 「県は被災者に冷たかったではないか。身内の公務員だけを厚遇するのはおかしい」

 昨年の台風や高潮被害で自宅が被災した県職員や教職員、警察職員に対して「災害見舞金」が、各職員互助会から給付されていたことが報道された二月二十四日。県庁や県職員労組、それに本社にも冒頭の声に代表される苦言や抗議の電話、メールが相次いだ。

 給付総額は二百三十二件四千百九十六万円で、うち約二千万円が公費負担分だ。一人当たりの給付額は二万五千円から六十四万円で、平均すると約十八万円になる。

 一方で県民向けには全壊で最高三百万円、大規模半壊で最高百万円が支給される「被災者生活再建支援法」しかなく、床上浸水被害は、そのほとんどが支給対 象外。県は被災者向け融資制度の要件を緩和するなどして対応しただけで、床上浸水以上の被災者に一律十万円を支給する措置を取った福井県のように独自対策 は行わなかった。融資はしたが、支給はしなかったことになる。

 「公務員は身分も給料も保障されている。そんな金があるなら被災者に公平に分配してほしかった」。県行政に対する怒りや失望が電話の向こうから伝わってきた。

63年に制度化
 そもそも公務員の職員互助会とは、どんな組織なのか。

 県職員課によると、県職員互助会は地方公務員法第四十二条「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを 実施しなければならない」に基づいて、職員の福利増進と服務能率の向上を目的に一九六三年、県条例を定めて設置。県の費用負担は「職員の掛け金に相当する額以内」とある。

 つまり一般企業に例えると、事業主(県)が社員(県職員)の福利厚生を目的に設置し、「運営費用は労使の双方で半分ずつ持ちましょう」と取り決めていた組織といえる。

 事業内容は別表の給付事業のほかに子どもの入学祝い金や卒業祝い金、銀婚祝い金など多岐にわたる。地域文化の発展に寄与するため、職員文化展への補助やサークル活動助成、さらには職員家族向けのレクリエーション助成などもある。

 このうち、毎年、最も大きな額を占めるのが医療補助金。次いで旅行補助、慶弔金の順。今回、注目されている災害見舞金は、七六年に制度化され、二〇〇二年度は九十万円、〇三年度は実績ゼロで「これまでは主に火事見舞いが中心」(県職員課)だった。

 県教職員互助会、県警察職員互助会も同趣旨で六三年に発足、おおむね同様の制度を持つ。

時代が異なる
 「六〇年代、われわれ公務員は民間に比べて薄給。民間はどんどん右肩上がりなのに、地方公務員は人事委員会勧告に基づいていたため、伸びが緩やか。民間との格差を埋める意味から、互助会の存在は大きかった」と証言するのは六十代の県職員OB。

 「給料の0・9%が掛け金だから、決して安くはない。その分、還元されるかというとそうでもない。慶弔費や災害見舞金制度はあってしかるべきだが、価値観が多様化している現代。制度が社会の変化に即応できていない面もあり、時代と乖離(かいり)しているのではないか」。現職の県職員の中にも制度を疑問視する声はある。

2年連続の減
 職員互助会への公費補助について、これまで議論がなかったわけではない。県は〇三年度まで、清算の必要のない共済費として支出。〇四年度からは、残った額を返還させる補助金制度に変更したばかり。また、県職員互助会へは、〇二年度まで職員の掛け金に対して100%だった補助率を〇三年度は83%、〇四年度は52%と引き下げており、他の互助会も同じ。

 「問題の根本は、被災者向けに県が独自対策を行わなかったこと。職員互助会の災害見舞金とは別次元の問題。ただし、今回の問題は国も含めて被災者への支援が冷たすぎることを浮き彫りにした」と語るのは、県職員労組の鈴木義博中央執行委員長。「県民生活や感情を考えると、被災者へもっと手厚い保護が必要だと感じたが、組合として県に働き掛けができなかった点は反省しなければならない」とも。

 結局、災害見舞金のうち、公費補助分の二千万円は県に返還することで落ち着いたが、職員互助会への適正な公費補助を巡る議論は、これからが本番。「県民の理解とは何か」「社会通念上、許される範囲とは何か」が議論の大きな焦点となりそうだ。

何が問題か=「県民の理解」物差し 法定外は補助ゼロも

 災害見舞金の問題は、県職員などには制度にのっとって手順を踏み支給、県民には制度がなく不支給となったために不公平感が募ったというのが真相のようだ。

 しかし、問題が簡単でないのは大阪市などでの公務員の厚遇ぶりが続出したからだ。「長引く不況で民間ではリストラや賃金カットは常識。役所も行財政改革や合併を進め超緊縮予算を組まなければならない時代におかしいのでは」(高松市の男性会社員)といった疑問だ。

2月定例県議会で「民間企業の福利厚生制度の給付水準を踏まえ、十分議論を尽くしたい」と答える真鍋知事
2月定例県議会で「民間企業の福利厚生制度の給付水準を踏まえ、十分議論を尽くしたい」と答える真鍋知事

全国水準並み
 適正な公費補助率はいくらか。総務省福利課によると「一対一の比率が良いかゼロにするのが良いかは国には基準はない。議会の議決という予算審議のプロセスもあり、地域性を考慮し十分に住民の理解を得て適正な執行をしてほしい」と話し、それぞれの地域にげたを預けた形。

 宮城県は厳しい財政状況に対応して〇一年度から補助金をゼロにした。それまでの人間ドックへの助成など法定福利となる社会保険関連は共済組合事業に移管し、法定外福利となる慶弔費などの給付事業は支出全体を抑え、掛け金だけで賄うようにしたという。

 県が編み出したのは「全国水準並み」という考え方だ。前年度の全国平均の比率を公費補助する。〇四年度は掛け金一に対し〇・五二を補助。主体性のない方法とも見えるが、県の包括外部監査人で公認会計士の榎本浩さんは「答えがないというのが正解。客観的な数値基準がない以上、全国水準に合わせるのも一つの 見識。妥当な線と考える」と解説する。

 どこまでが福利厚生か。これも明快な答えは難しいようだ。監査を行った榎本さんは「補助率も給付内容も全国水準からみて過剰なものはなく適正と判断したが、県民の納得を得られるようにとの注文をつけた」という。県民の理解、つまり批判に耐えうる補助率や内容とすることが不可欠といえる。

法定福利費
 県の三互助会の総資産が約二十八億円あり、そのほぼ半額の県費補助分を返還すべきとの議論がある。しかし、医療補助事業の支払準備金など事業主に負担が義務付けられている法定福利費が主で「返還できる仕組みではない」(谷本県総務部長)というのが法律上の考え方となる。労働者として法で定められた正当な報酬であり、批判は当たらないことになる。

 ただ、「使途が明確でない使い残しが多く出るのであれば、掛け金や公費補助を減らし身の丈に合った台所にするのが妥当」(榎本さん)とも指摘する。

 時代に合わせたスリム化はしなければならない。「既得権益としていつまでも拡大基調路線を続けた結果が公務員バッシングにつながっているのでは」(県職員OB)。社会の変化、市民感覚に追いつく制度が求められている。

県内市町では=7市7町で独自組織

 県内市町職員の福利厚生は、三十七市町の職員らが加入する「県市町村職員互助会」(高松市福岡町、会員約一万三千人)が行っている。互助会は各自治体の事務の効率化を目的に一九八三年に設立し、九三年から給付事業を始めた。

職員の福利厚生の公費補助
職員の福利厚生の公費補助

 運営費は職員の掛け金月五百円に対し市町が月千円を負担。会員本人が死亡の際の遺族一時金十万円、結婚祝い金三万円=表参照=などを給付している。

 高松市など七市七町は県市町村職員互助会とは別に、各市町単独の福利厚生のための組織を持っている。職員の掛け金とは別に市町からの補助で運営=表参 照=。職員の結婚祝い金、出産、弔慰金などの冠婚葬祭への支給が主で、文化、研修、レクリエーション活動や旅行などを行っている町もある。

 このほか、牟礼町、宇多津町にも同様の親ぼく団体があるが職員の会費だけで運営している。

 高松市の「高松市職員共済会」(約三千三百人)は四九年の設立。歴史が古く、県市町村職員互助会が発足し加入するに当たって、「給付内容がダブったり、 水準が下がったりしないよう事業内容を見直した」(高松市人事課)という。両方から給付されている結婚給付金など=表参照=は、共済会単独の時代と整合性を図るのが目的と説明する。

 合併後間もない、さぬき市、東かがわ市は新市発足と同時に新組織でスタート。また合併を控えた塩江町、仲南町などは解散の方向という。

 災害見舞金は県市町村職員互助会の給付事業にはなく、七市が制度化。昨年の台風などによる水害では高松市は、り災給付として床上浸水以上に六―十二万円 を八十人に支給。丸亀市は床上浸水六万円、業務に使った車の全損六万円など計十五件に給付。観音寺市は通勤に使う車の全損三万円が二件。坂出市は該当者がなかった。

 さぬき市は全壊、半壊などの規定が決まっておらず、保留にしている。善通寺市は床上浸水の一人から申請があったが、上限十万円の制度の中で役員会で支給 額を決める方針。東かがわ市も床上浸水三万円、車の全壊五万円など四十六件九十四万円の申請があるが、公的補助の受けられなかった住民感情に配慮して給付 を保留している。

 山下和彦、岩部芳樹が担当しました。

(2005年3月6日四国新聞掲載)

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