感染症診療の原則より
それはいいすぎ魚沼市より
毎日新聞の新潟版にHPVワクチンの記事がありました。
つっこみどころ満載。
「焦点'10:子宮頸がんワクチン、公費助成発表1年 魚沼の一石、国も動かす /新潟
◇市と医師会、連携し 中1接種率、9割超 10月から中3も対象」
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20101218ddlk15040063000c.html
魚沼の取り組みは早かったですが、「国も動かす」はかなり飛躍しています。
国を動かした要因は製薬会社の販売促進プロモーション。
売れればいいのかよ!と批判はあるでしょうけれど、これまで化石化していた予防接種制度を揺り動かしたのは功績といえば功績。
いずれにしても発端は「新型インフルワクチン」ですね。一般の人のワクチン認知度が高まりましたし、この在庫対応で、結果、厚労省がなんだかHPVでムニャムニャですね。
「私たちの取り組みの成果である!」と大声で主張をしている政党もあります。
これまたた、政治利用をすんじゃねえ、と批判も出ますが、影響はとてもありましたね。
ワクチンの素人である首長が「子育て・女性支援」として動いたのも、各地で署名や要望が届けられていたからです。この活動の中心になっていたのは公明党。
記事より。
「市長が子宮頸がん予防ワクチンの存在を知ったのは、09年4月に開かれた同市と地元医師会が医療について協議する懇談会の席だった。県立小出病院の鈴木孝明副院長から「ワクチンが近く日本でも使えるようになる」と聞かされ、同時に市が公費で助成するよう提言を受けた。」
このときに、なぜ一つのワクチンだけを考えたのか?ということが疑問です。
同時期に予防接種全体を見渡すのが行政の役割だとおもいますけどね。
魚沼市のホームページには任意接種ワクチンの記載さえありません。
http://www.city.uonuma.niigata.jp/modules/kosodatetopic/index.php?content_id=21
「大平市長は3年前に友人を子宮頸がんで亡くしていることもあり、「子どもたちの将来にとって、代えられない」と09年12月10日、全額公費助成すると発表した。接種費用は1人5万円。財政難のため、当初は中学1年の女子生徒216人のみを対象とした。ところが、中3の女子生徒から「中1の妹は公費で接種できるが、私は接種料が高くて受けられない」との声が寄せられ、今年10月からは中3の187人も対象に加えた。」
HPVワクチンについて、通常専門家が検討するようにHPVの疫学、罹患率、がん発生の数、費用対効果などを勉強すると、疑問がたくさんわきます。
少なくとも他のものをぶっちぎって最優先で急いで無料化して導入するものではないことはわかります。
子どもたちの将来にかえられない、なら、子どもたちに現在起きている感染リスクを減らすための予防接種についてなぜ考えられないのでしょう。
この時点の話で中2がないのはなぜでしょうね。
以下本文参照。
取り組みが早いったって、21年12月10日の認可までそんな話はおくびにも出さなかった。それまで何の話も無いのである。
第4回定例会の一般質問二日目12月10日、最後の質問者公明党の渡辺一美の一般質問に答える形で、実施を検討したいと答弁した。その後、記者に囲まれて実施すると発表することになるのだが、委員会や議会には何の話も無く、寝耳に水とはこのことだった。当日はグラクソスミスクライン社のサーバリックスが国内販売の許可が下りた日で、市長、公明党が組んで仕掛けた、予算的に何の裏づけも無い全国初の公費助成の発表だった。
ある医師のアドバイスで、レンホウじゃないが1番で無ければ意味がないと、何の段取りも踏まずに勝手に表明した。稚拙な計画やつじつまが合わないのはそのためだ。
今でも全額補助の半ば強制的な接種には問題がある、副作用の報告もあるため見直しをせよと進言している。
三流は人の話を聞かない。